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保科正之

近頃会津に出入りすることが多い。それなのに会津の歴史を全く知らないのもおかしいし、そもそも僕は日本史に疎いので「せっかくなので勉強しよう」と思ってちらほら読んでみたりしてます。

今大河ドラマで「直江兼続」がやっていますね。直江兼続は今の鶴ヶ城を見て、「この場所では都合(攻められてきたときに弱い)が悪い」などして、戦術的に優れた場所に城を移そうとしたのだとか。徳川との関係から計画は流れたそうですが。

会津でツアーの打ち合わせをしていたとき、会津藩校日新館の仮名さんに「直江兼続流行ってますね~。会津もそこら中で『天地人』ですね」と話を振ってみると、「会津は領主が次々に変わった土地だった。兼続が仕えた上杉景勝もそうだったし、蒲生氏郷もいる。伊達正宗も少しの間そうだった。ただ、その中でも名君といえば、保科正之だろうね。」と言われた。何でも玉川上水の開削をしたり、江戸城が燃えた後に、江戸城を「作らせなかった」人なのだそうだ。

「すごい人なんだろうな」と思って話を聞いて、帰りに駅前の本屋に入ってみると、「保科正之」の本が目に止まった。縁だと思って買って読んでみたわけです。
中村彰彦著『保科正之』/中公文庫(2006/5)


この保科正之という人は、二代目将軍徳川秀忠と世話人との間に生まれた人で、嫉妬深い大奥正室の目を逃れるようにして、武田信玄の娘に育てられ、高遠藩主保科正光の養子として預けられて育つという、稀有な経歴を持つ人。後年には三代目将軍家光から「徳川」姓、もしくは一門の姓である「松平」を名乗るよう言われるものの、養父正光への終生の義理立てから断り続けたという。その恩義に報いようとする姿勢や正直な人柄から、三代目将軍家光に信頼され、家光没後は幼かった四代目家綱の後見人になった。

彼は民に非常に目を向けた人であったそうで、「江戸の飲み水が足りない」という問題を解決するため、「江戸の堅牢性が下がる」とわめく幕臣達をしずめながら、玉川上水の開削を行った。また、「明暦の大火」といわれる大火事にて焼け落ちた江戸城も、立て直そうという幕臣に対し、「軍用に大きな利点があったということは聞かないし、ただ町を見下ろすものとして使うだけであるのなら、そこに大きな労力とお金を費やす必要はない。それよりも燃えてしまった町の復旧に力を入れるべきだろう」ということでその意見を退け、結局立て直さなかった。

また、会津藩の藩政においては、「会津藩家訓」を定めたり、「社倉」と呼ばれる「飢饉のときなどに貧民を救うための米貯蔵庫」を作ったりした。この社倉米は無利息で借り受けられたり、利息がついた場合でも2、3年は支払いを待ってもらえたりしたそう。天候に左右されてしまう農作物を扱う上で、こうした制度を作ってくれることは、農民にとっても有難いことだったと思う。


この時代の人について目を向けると、忠孝・恩義といったことにとても誠実だなということを、改めて感じる。今の時代とは大きく違う文化・習慣が、当然としてあった時代。もちろん読んでいて「美化されすぎだろ?」と思ったり、「この時代に生まれないでよかった」と思う点もあったけど、「こういうリーダーの下のこういう文化もいいなあ」と思う点もあった。

当たり前のことだけど、今僕らが当然のこととして考え、当然として親しむ文化も、昔から考えれば「異文化」だし、当然未来から考えても「異文化」になるわけだよなあ。そしたら未来を作っていくとは、すなわち「文化」を作っていくことになるわけで、「未来の担い手」とは「今の文化を過去の文化にできる人」を指すわけか。どんな文化にするかは、未来の担い手次第。

だったら、常に「対応」しているだけでなく、「創造」する側でいたいよなあ。



余談だけど、保科正之は「殉死」を禁止させる法律を早い段階で作った人らしい。殉死とは藩主が死んだらそれを追いかけて死ぬこと。当時はそれが普通に行われていた。

そうしたときって、「ああ、オレこいつのために死にたくないなあ」と思って死ぬ家臣はいたのだろうか。それとも皆、「いつ何時も、この方の供でいたいのだ!!」という気概で死んでいくのだろうか。そこを知りたい!!!って強く思った(笑) 
今の時代に殉死を行えるぐらいの関係は、どれくらいあるだろうね。



プロフィール
  • name/林 賢司
  • birth/1986/04/18
  • belong/WINPEACE LLP
  • theme/「良さ」の追求
  • "My Accept"/自分の経験から目を背けずに、「その時の自分なりに」受け止めていくこと。
  • purpose/「その時の自分なり」の解釈・観察・感情の蓄積。
  • contact/kenji[at]monoraltype.com

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